2016年1月10日日曜日

故事成語強化のための新たなお勉強  4

予且の患い   説苑

よしょ の わずらい


 身分の高い人が気付かれないように出掛けて、不幸な出来事にあうこと。
「予且」は人の名前。

 天帝の使者である白い竜が魚の姿になって泳いでいると、漁師の予且に目を射抜かれて捉えられたという故事から。



蘭摧玉折と為るも蕭敷艾栄と作らず   世説新語

らんさいぎょくせつ と なるも しょうふがいえい と ならず  28−01−30


何の取り柄もなく漠然と生きるよりは、潔く死ぬ方が本望である

・つまらぬ人間として生き長らえるより、潔く死ぬほうが本望であるということ。
   ・蘭が折れたり、玉が砕けたりするように立派な人物として死のうとも、よもぎが
    生い茂るようにつまらぬ者となって栄えることはしたくないという意から。

   ・「蘭摧(らんさい)」は、蘭が折れること。

   ・「玉折(ぎょくせつ)」は、玉が砕けること。

   ・「蕭敷艾栄(しょうふがいえい)」は、よもぎが繁茂すること。

蘭摧玉折 :
  • 賢人や美人などが、その魅力を十分に発揮しないまま、世を去ってゆくこと。本来の意味は、蘭の花が散り、玉が砕け割れること。▽「摧」はくだける意。
蕭敷艾栄(しょうふがいえい):艾(よもぎ)が繁茂するようにつまらぬ人間となること

cf) 玉砕瓦全   ぎょくさいがぜん  

名誉を守るために未練なく死ぬことと、何もすることなく長く生きること。

「玉砕」は宝石が砕けちるように美しく死ぬこと。

「瓦全」は瓦のようにつまらないものとして長く生きること。

「大丈夫は寧ろ玉砕す可く、瓦全たる能わず」を略した言葉。

『北斉書』「元景安伝」





左)新星出版 漢字検定1級対策    右)漢検辞典




鷽鳩鵬を笑う   荘子

カッキュウホウ を ワラう

小人物が大人物の行為を笑うたとえ。また、小人物が大人物を 理解し得ないたとえ

鷽鳩〔カッキュウホウをワラう〕
 「鷽鳩」は小さな鳩。「鵬」は想像上の大鳥)愚かな
 小人の心で賢明な大人の心をおしはかるたとえ。

鷽 カク うそ



夸夫日影を追う   列子  28−01−30

かふ(こふ) にちえい を おう

己の力を知らずに、大事を企てること

夸 コ  カ  ほこーる  おごーる(p137)





瑕瑜相揜わず   礼記 

瑕瑜(かゆ)相(あい)(おお)わず

欠点も美点もありのままにしておいて隠さない


長所と短所をともにありのままに示して、隠さないことのたとえ。

「瑕は瑜をわず、瑜は瑕 をわざるは忠なり」


(きずがあっても玉の美しい光沢を損なうものではない。

「礼記」


窮寇は追うこと勿れ   孫子 

きゅうこうは おうこと なかれ

窮する敵を更に追いつめるようなことをしてはいけない

窮地に陥ったものを更に追いつめてはいけないということ。
窮寇は窮地に陥っている敵のことで、これを更に追えば死に物狂いとなって逆襲されてしまうことをいう。 

出典は孫子の軍争篇。
孫子は四方を囲んだら必ず一方を空けて逃げ道を作るべきであり、窮する敵を更に追いつめるようなことをしてはいけないと説いた。 

なお、出典では窮寇は迫る勿れで、「追」ではない。

出典・参考・引用
孫武「孫子」軍争篇



梟鸞は翼を交えず   弁命論

きょうらん は つばさを まじえず


善人と悪人は一緒の場所にいることはできない

キョウラン(梟 鸞)は翼を交えず(H6-):キョウ()と霊長とはいっしょに住むことはない。転じて、君子と小人は同じ所にいられないというたとえ。






有らば即ち書楼を起てよ、無くば即ち書櫃を致せ   金言童子教


アらばスナワちショロウをタてよ、ナくばスナワちショキをイタせ

 金のある者は立派な書庫を、ない者は書物を納める箱をこしらえよ。貧富にかかわらず、書物は常に大切にして座右に置き、見るべきものであることをいう。




四海困窮せば天禄永く終えん   書経
しかい こんきゅう せば  てんろく なが おえん


天下万民に困窮を強いるようなことがあれば、天が与えた幸運は永久に途絶えるであろう


四海困窮 とは・・・
世の中、みんなが困っている、という意味です。
【四海】は、四方の海のことで、自国を含めて全ての世界のことを言います。

【四海困窮】は、『論語』の一番最後の篇「堯曰:ギョウエツ」にでています。
「堯曰篇」には為政者のあるべき姿が述べられています。

  堯(ギョウ)曰く、咨(ああ)爾(なんじ)舜(シュン)、
     堯が(帝位を禅譲しようとして次のように)言いました、ああ舜よ

  天の暦数(レキスウ)爾の躬(み)に在(あ)り。
     天の命数、すなわち帝位につくべき順番が汝に下ったようだ。

  允(まこと)にその中(チュウ)を執(と)れ。
     帝位に就いたならば、一方にかたよらない中正の道を堅く守り通して行け

  【四海困窮】せば、
     (万一中正の道を失って)天下万民に困窮を強いるようなことがあれば、

  天禄(テンロク)永く終えん。
     天が汝に与えた幸運は永久に途絶えるであろう。

為政者自身の身の持ち方も記載されています。四つあるそうです。
  1) 寛大であること
  2) 信用されること
  3) 敏速に事を行えること
  4) 公平無私であること

このあと弟子の子張(シチョウ)が孔子に尋ねました。
どのような人物ならば政治に従事することができましょうか。五つの徳を尊重することだ。
  1)恵み深いが浪費はしない。
  2)人民に労働を命じても怨みを買うようなことがない
  3)欲望はあっても足ることを知って貪ることがない。
  4)泰然としているが少しも驕った所がない。
  5)威厳はあるが猛々しさがない。



しつこい坊主に檀那が無い 

しつこい者は人に嫌われる

だんな【旦那・檀那
  1. 1.
    成人男性に対する(軽い)敬称。
    • (一家を取りしきる)主人。 「大家(たいけ)の―衆」
    • 夫。
    • めかけの主人。
    • 商人・芸人などが男の客を指して言う称。
    • 目上の男の人に使う称。2
  2. 仏教用語
    僧から見て、財物を布施する信者。施主。檀家(だんか)。



晋秦の好   春秋左伝  28−01−30

しんしん の よしみ

仲間としての固い結びつき

【解説】
「秦晋之好」とは、簡単に言えば、政略結婚を意味します。

 

春秋時代、秦と晋は、ともに大国でした。

晋献公は、秦との関係を強化すべく、自分の娘を秦穆公に嫁がせました。

秦穆公の夫人ということで、秦穆夫人、もしくは、穆姫と呼ばれます。

晋献公は、晩年、中国四大妖姫の一人、驪姫に、骨抜きにされてしまいました。

驪姫は、自分の息子である奚斉に王位を継承させるために、献公の前で、さんざん太子申生の悪口を言います。
結局、太子は殺されてしまいました。

更に、献公の息子である夷吾と重耳を、追い出してしまいます。


 
献公が亡くなると、驪姫の思惑通り、奚斉が即位しますが、その奚斉も、臣下に殺されてしまいました。

そして、夷吾が呼び戻されることになります。
その際、秦穆公に、護衛の兵を出してもらいました。

その条件として、無事、晋に戻り、国王になった暁には、五城を割譲してそのお礼とすることを約束していたのですが、晋惠公となった夷吾は、すっかり反故にしてしまいました。

秦穆公は、怒り心頭ですが、仕方ありません。

その後、晋に飢饉が発生しました。
夷吾は、背に腹は代えられないため、秦に援助を求めます。
秦穆公も旧怨を忘れて、援助しました。



 ところが、翌年、秦が飢饉に陥ると、晋は一切の援助を行いませんでした。
これに対し、さすがの秦穆公も我慢できず、自ら晋を攻め、晋惠公を捕虜としました。

この際、晋惠公を殺すのであれば、私は自害すると言ったのが惠公の姉であり、穆公の后(きさき)であった穆姫でした。

これには、穆公も困ってしまい、結局、再度、晋と講和することになります。
そして、晋の土地を割譲しただけでなく、太子の子圉を秦へ人質として差し出し、穆公は、同族の娘、懐嬴をその妻として嫁がせました。

完全に政略結婚です。



 ところが、子圉は、その妻を置いて、晋に逃げ帰ってしまいました。
もう無茶苦茶です。

その後、惠公が亡くなり、子圉が、晋懐公として即位します。
ただ、非常に乱暴な性格で、忠臣を殺害するようになりました。

ちょうどその頃、各地を放浪の上、秦にやってきたのが重耳でした。
重耳の博学で誠実な性格を気に入った穆公は、懐嬴を再度、重耳に嫁がせ、晋の国王にすることを決心します。

秦穆公に守られて、晋に戻った重耳は、懐公を殺して即位し、晋文公となりました。

その後、秦と晋は、良好な関係になりました、というお話です。



 この秦と晋の良好な関係のことを「秦晋之好」と言いました。

ちなみに、その関係が良好であった期間は、6年間だったと言われています。

この国の人たちが、そう簡単に、仲良くなれるものではありません。 芙蓉峰の如是我聞



燭寸の詩   南史

しょくすん‐の‐し


詩作の速さを競うため、蠟燭が燃えるわずかの間に詩を作らせること。また、その詩

《王子良が学士を集めて作詩させたという「南史」王僧孺伝の故事から》詩才を試すために、ろうそくが1寸燃える間に詩を作らせること。また、その詩。





虎髥を引き損ねる

コゼンをヒきソコねる


冒険に失敗して、身を危うくさせる



瞽者は文章の観に与ること無し   荘子

瞽者(コシャ)は以て文章の観に与(あずか)ることなし


物事の美しさは、それを理解する人にしか益にならない

 (「瞽者」は、盲目の人。「文章」は、あや模様)盲人は、
 美しいあや模様からは何の感興もおぼえない。物事の
 もつ美しさ、すばらしさは、それを解する人にしか益に
 ならないことをいう。  漢検レシピ Season2



連叔曰わく、「然り、『瞽者(コシャ)は以て文章の観に与(あずか)ることなく、聾者(ロウシャ)は以て鐘鼓(ショウコ)の声(こえ)に与かることなし。豈(あ)に唯(た)だ形骸にのみ聾盲(ロウモウ)あらんや。夫(か)の知にも亦(ま)たこれあり』と。

連叔は言った、「なるほど、『視力のない人には文章(あやいろどり)の観(ながめ)をみるすべはないし、聴力のない人に鐘鼓(ショウコ=音楽)の声(ねいろ)をきくすべはない。けれどもそれは、形骸(からだ)の能力だけに限ったことではなく、知識についても同じことがいえる。』といわれるが、お前こそ、まさにそれだ。


仕埒を分ける 

しらち を わける

理非曲直をはっきりさせる

埒 ラチ ラツ  かこーい   p.136(頁は新漢字必携,日本漢字能力協会編のもの)
不埒千万(ふらち せんばん)



谿壑の欲

けいがく の よく


つきることのない欲望

けい‐がく【渓×壑/×谿×壑】
深い谷。渓谷。
《深い谷川の水は尽きないところから》欲望が次から次と起こって満足を知らないことのたとえ。「―の欲」



沢を竭くし藪を焚く   呂氏春秋

たくを つくし やぶを やく

[沢を竭くし藪を焼く]
川や沼の水を抜いてしまえばたくさんの魚を捕ることができるし、やぶを焼き払ってしまえば獣をまとめて獲ることもできるが、いちどきに捕り尽くすと根絶やしになって次回からの獲物がなくなる、という意味。あくどい手段で利益を得ても、二度とは通用しない、というたとえ。 


目先の利益にこだわった安易な方法を用いれば、一度は成功しても大きな損失を招く

著者:偉大なる思想家を産んだその国の苗裔にこそ,今,改めてアドバイスしてあげたい言葉である



梭を投ぐる間

さ を なぐる ま


とても短い時間、また、歳月が早く過ぎる

〔機(はた)を織る梭がたて糸をくぐりぬけて通るほどの間の意〕
またたく間。 「露より仇の契りかや-の世の業(わざ)も/浄瑠璃・百合若大臣」

梭   サ  ひ


書は道を求むる筌蹄なり

しょ は みち を もとむる せんてい なり

書物は学問の道を究めるために必要な手段である

書物は真実の道を求める道具である。

せん‐てい【××蹄】
《「荘子」外物から》
魚を捕る筌(うえ)と兎を捕る蹄(わな)。目的が達成されると不要になるもの。目的を達成するために利用する道具・手段。

物事をするための手引き。案内。


尺蚓堤を穿てば能く一邑を漂わす   韓非子

せきいん つつみ を うがてば よく いちゆうを ただよーわす

わずかな油断から、大事を引き起こす

尺蚓とは一尺ほどの小さなミミズのことで、邑とは村や集落のこと。
 直訳すれば小さなミミズが堤防に小さな穴を開けてしまうと、一つの村を水浸しに
してしまうこともあるということ。
 転じて、ちょっとしたことから大きな災いを引き起こしてしまうものであるということ。
 ただ、いきなりこのような大災害が起こることは珍しく、その前には三百の小さなトラブルと、三十の中くらいのトラブルがあるといわれている(法則化されているらしい)。
































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